神戸市 須磨区 名谷 整形外科・リウマチ科・リハビリテーション【いしい整形外科 リウマチ・クリニック】

いしい整形外科 リウマチ・クリニック整形外科・リウマチ科・リハビリテーション科お問い合わせは診療時間内にお電話で TEL.078-798-2550
院長:石井憲治 〒654-0154 神戸市須磨区中落合3丁目1番10号 LUCCA名谷3F
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関節リウマチについて
関節リウマチは、自己の免疫が主に手足の関節を侵し、これにより関節痛、関節の変形が生じる炎症性疾患です。しばしば血管、心臓、肺といった全身臓器にも障害が及びます。関節リウマチ患者には女性が多いです。
診療時間
完全に病気の原因がわかっているわけではありませんが、リンパ球やマクロファージが産生するサイトカイン(TNFα、IL-6など)と呼ばれる物質の作用により関節内に炎症反応がひきおこされ、関節の内面を覆っている滑膜細胞の増殖が起こり、痛みや腫れを起こし、関節液が増加し、軟骨・骨の破壊が進んでいきます。
正常な関節と関節リウマチの関節の図解
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初めて受診される方へ
朝のこわばり
初期には「朝のこわばり」と呼ばれる症状が出現し、朝起きてから、手をにぎることが困難であり、文字通りこわばっています。5〜10分程度のこわばりは他の疾患でも診られますが、1時間以上も続くこわばりであれば関節リウマチまたは他のリウマチ性疾患の可能性が高いです。こわばりの持続時間は関節リウマチそのものの活動性と関連していると言われています。
関節痛
次に、関節痛がおこるようになります。初期には手の指の関節、また足の指の関節がおかされ、次第に手首、肘、膝など体の中心に近い大きな関節の痛みを感じるようになります。
症状は天候に左右されることが多く、暖かく晴れた天気が続くときは軽く、天気が崩れ出す前や雨の日、寒い日には痛みが強くなります。夏でもエアコン冷房の風が直接関節部にあたることなどで関節痛が強くなります。
【関節痛以外の症状】関節リウマチではこのような典型的な関節痛の症状の他に、様々な症状が現れることがあります。
慢性に続く炎症であるため、だるさや食欲低下が生じたりや疲れやすくなります。
肘の外側、後頭部、腰骨の上など圧迫が加わりやすい部位の皮下にしこりを生じることがあります。皮下結節とよばれています。
進行すると、滑膜細胞の増殖(パンヌス)、軟骨の破壊と骨にはびらんが生じます。最終的には関節という構造物が破壊し尽くされ、骨と骨が直接接し、関節を動かすことは出来ない状態になります。また、逆に関節が破壊された結果だらんだらんになることもあり、この場合ムチランス破壊と呼ばれる状態になります。
指が障害されると、最終的にスワンネック変形あるいはボタン穴変形といわれる典型的な関節リウマチ患者の手の形を呈します。尺側偏位もリウマチ患者によく見られる指が全て外側(尺骨側)を向く変形であるが、これは関節の脱臼が原因です。
他の関節では足の親指が外側に曲がる外反母趾、膝や肘が十分に伸ばせなくなる屈曲拘縮などがみられます。
指の変形において、第1関節(一番先の関節)のみが変形を来たす場合は、ヘバーデン結節や乾癬性関節炎を念頭において、鑑別診断が必要になります。
手足の関節の他では、胸・腰の背骨はおかされないが首の背骨(頚椎)はおかされやすいです。頚部痛を生じるか、または頚椎が亜脱臼しまれですが脊髄損傷を来すこともあります。
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検査
関節リウマチの診断をするときに役立つ検査に、血清のリウマチ反応、血沈、CRP、手のエックス線写真があります。リウマチ反応(リウマトイド因子:RF)は、関節リウマチの患者の80〜90%で陽性となります。リウマチ患者でも陽性とならない人もあり、また、関節リウマチ以外の病気の人や健康な人でも陽性となることもあります。リウマチ反応陽性でもすぐ関節リウマチというわけではありません。関節リウマチ早期では陰性のことがありますが、抗CCP抗体はRFよりも早期から陽性になるとされており、診断のつかない早期例には抗CCP抗体が検査の適応になります。

リウマチの診断のために、またリウマチの進行や関節症状の進み方の検査として、関節のエックス線(レントゲン)写真、胸部のエックス線写真を定期的に撮影します。しかし最近はエックス線写真ではわからない変化がMRIなどで検出でき、むしろこの時期に早期から治療することの重要性が言われています。

血沈やCRPもリウマチの炎症の程度を知る上で役に立つ検査です。 MMP3も軟骨の破壊が起こっている指標になります。

リウマチは薬物療法を長期にわたって行うので、くすりの副作用に気をつけるための検査が必要です。尿検査(たんぱくや赤血球)、血液(貧血、白血球や血小板の減少)、血液生化学(肝機能、腎機能)、胸部エックス線写真を定期的に検査します。
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治療

リウマチの治療の目標は…
症状の緩和身体機能の保持
関節の破棄や変形の予防日常生活の質の維持
破壊された関節の働きを再建する寛解を導く

薬物療法についてリハビリテーションについて生活上での注意
薬物療法について
消炎鎮痛薬
関節の痛みや腫れを軽減する効果を持っています。病気自体の進行や骨や関節の破壊をおさえることはできませんが、飲んだ後、速やかに効き目をあらわすことから、患者さんの日常生活を維持するのに役に立ち、関節リウマチの治療では最初に使う薬とされています。

しかし、この薬には炎症を抑える効果と裏腹に、胃潰瘍や、腎臓の働きを低下させるなどの種々の副作用が認められます。一般に非ステロイド性抗炎症薬によって誘発される潰瘍は半数近くの患者さんで自覚症状が全くないので、便潜血反応や胃カメラなどを定期的に行うことも勧められています。副作用軽減のため、プロドラッグ、COX-2阻害薬と呼ばれる新しいタイプの薬剤も使われるようになってきました。
ステロイド
活動性の高い関節リウマチ初期治療に使用したり、疼痛の軽減、ADLの改善のために少量が投与することがあります。しかし、副作用として胃潰瘍や十二指腸潰瘍、易感染性(免疫の力が弱まることで風邪やその他の感染症にかかりやすくなること)は大きな問題です。

長期間用いると顔が丸くなったり、太ったり、高血圧症になりやすくなることと、血糖が上昇して糖尿病が出やすくなります。それらの結果動脈硬化が健康な方よりも早く進んでしまいます。
骨粗鬆症もステロイドの副作用です。よってビタミンD製剤とビスホスホネート製剤を一緒に服用することで、予防に努める必要があります。
抗リウマチ薬、免疫抑制剤
抗リウマチ薬とは、関節リウマチの免疫異常を改善させる薬です。炎症を抑え、寛解導入を目的とする薬剤の総称です。効果発現までに時間を要することから遅効性抗リウマチ薬とも呼ばれています。現在では、発症3か月以内の早期から積極的に抗リウマチ薬を使用するようになっています。また現在の抗リウマチ薬の中心はメトトレキサートに変わってきました。

主な抗リウマチ薬と免疫抑制薬の特徴を説明します。
【関節痛以外の症状】関節リウマチではこのような典型的な関節痛の症状の他に、様々な症状が現れることがあります。
金製剤
注射金剤(商品名シオゾール)と経口金製剤(商品名リドーラ)があります。以前はよく使用されましたが、他の治療法の進歩もあり最近では以前ほど使われなくなりました。
ブシラミン(商品名リマチル)
重篤な副作用も少ないために最初に使われる傾向があります。
ミゾリビン(商品名ブレディニン)
主としてDNA合成阻害作用により効果を発揮します。関節リウマチに対しては効果も弱いが副作用も少ない特徴があります。高薬価であることも問題です。
サラゾスルファピリジン(商品名アザルフィジンEN)
切れ味はよく強力で早期に反応する例もあります。メトトレキサートと並んで抗リウマチ薬の標準薬として使用されています。
メトトレキサート(商品名リウマトレックス、メトレート)
メトトレキサートの治療効果は他の抗リウマチ薬に比較して速やかで、投与4週目で発現する場合も少なくありません。しかも、その後3〜6か月間にわたり、その効果が増強します。副作用の第一は急性間質性肺炎でその機序はアレルギー性と考えられ、投薬後のどの時期でも発症する可能性があります。副作用の頻度は低くなく、ときに死に至る重篤な副作用も見られますが、激しい炎症があり、関節破壊が速やかに進行すると予想される場合には、早期リウマチでも積極的に使用されています。
タクロリムス(商品名プログラフ)
代表的な免疫抑制薬として移植拒絶反応や自己免疫疾患の治療に使用されています。副作用としては、腎障害が中心で肝障害は少なく、間質性肺炎の報告は少なく、他の抗リウマチ薬とは異なる傾向があります。
生物学製剤
生物学的製剤とは化学的に合成したものではなく、生体が作る物質を薬剤と使用するものです。現在日本で関節リウマチに使用できる生物学的製剤は4剤あります。腫瘍壊死因子(TNF)という分子と結合してその作用を抑制するものが3剤あり、レミケード、エンブレル、ヒュミラという商品名で使用されています。もう1剤は、IL-6のレセプターに対する抗体製剤でアクテムラという商品名で使用され2008年4月に承認され使用されています。
【関節痛以外の症状】関節リウマチではこのような典型的な関節痛の症状の他に、様々な症状が現れることがあります。
レミケード
レミケードはメトトレキサート(MTX;商品名リウマトレックス/メトレート)が無効ないし効果不十分な患者様にMTXと併用することになっています。通常開始して1〜2週間で炎症反応(CRPなど)が改善し、痛みや関節の腫れも引いてきます。また骨破壊の進行も止めることが分かっており、将来の関節の変形を予防できることが期待できます。また、改善した後で中止しても良い状態(寛解)が維持できる場合があり、ほぼ治癒に近い状態に導ける可能性もあります。投与方法は、点滴静注(2時間以上かかる)で、2回目は2週後、3回目はその4週後、4回目以降は8週毎になります。
エンブレル
エンブレルは皮下注射製剤で、週に2回皮下注射します。はじめは医師が行うことになっており、週2回の通院が必要です。以後は訓練して自己注射ができるようになれば、通院は1カ月に1回で済みます。レミケードと異なるもう一つの点は、MTXと必ずしも併用しなくてもよいことです。MTXが何らかの事情で使用できない場合でもエンブレルを使用できますが、効果を期待するならば併用する方が望ましいとされています。
ヒュミラ
ヒュミラも皮下注射製剤ですが、エンブレルと異なり注射の頻度は2週間に1回となっています。エンブレルと同様MTXとの併用は必須ではありませんが、やはり併用した方が有効性は高いです。
アクテムラ
アクテムラは点滴製剤で、1回の点滴時間は約1時間とレミケードよりやや短いですが、4週間に1回点滴します。MTXとの併用は特に必要はありません。これら生物学的製剤にはいくつかの注意すべき副作用がありますが、特に重要なものは感染症とアレルギーです。中でも結核は重要で、ツベルクリン反応陽性など結核感染の既往があると思われる方は抗結核薬をのみながらこの治療を受けるべきとされています。これにより結核は防止できます。結核以外では、種々の病原体による肺炎が約3%(100人に3人)に起こります。

咳や発熱などの症状があればすぐに主治医に連絡し胸部レントゲン撮影をするべきです。インフルエンザや肺炎球菌のワクチンはなるべく受ける方がよいと思います。アレルギー反応については、特にレミケードでは製剤中にマウスの蛋白を含みますので強いアレルギー反応が起こることがあります。これを抑えるためにレミケードではMTXを併用します。

一方のエンブレルはヒトの蛋白でできているので、重篤なアレルギーは少ないと言われています。軽度の注射部位反応(注射部位が赤くなったりかゆみがでたりすること)がしばしば認められますが、通常抗アレルギー薬を併用するなどしてエンブレルを継続できます。ヒュミラについてもレミケードやエンブレルと同様の注意が必要と思われます。アクテムラも感染症とアレルギー(まれにアナフィラキシーという重篤なものもある)には他の製剤同様注意が必要です。

それ以外ではIL-6を抑制するということから、他の3剤にはない有害事象がみられます。最も特徴的なものは血清コレステロール値の上昇です。これによって心血管系の疾患(脳血管障害や虚血性心疾患など)の増加が将来懸念されており、スタチン系薬剤などによるコントロールが必要となることがあるかもしれません。あとは白血球の減少が時にみられますが、ほとんど臨床的に問題にはなることはありません。
これら生物学的製剤は、他の従来の抗リウマチ薬にあるような臓器障害(血球減少、肝障害、腎障害など)はほとんどなくその点ではむしろ安全ともいえます。

通常の体格(体重34〜67kg)の方で1回あたりの費用が約22万円(3割負担の一般医療で約7万円)かかります。エンブレルは1回の注射の費用が約15,000円で1ヶ月あたり8回として毎月12万円(3割負担で3.6万円)、ヒュミラは1回の注射が約7万円で毎月約14万円(3割負担で4.2万円)かかります。アクテムラも体重あたり8mgを投与することになっており、50 kgの患者で400 mgで12万円強(3割負担で約4万円)かかります。高額医療費の負担軽減措置を受けることはできますが、それでも負担が大きい場合、身体障害者3級以上では全額還元されますので、該当するかどうか主治医にご相談されるとよいと思います。
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リハビリテーションについて
理学療法(物理療法・運動療法)
理学療法は物理療法と運動療法からなりたっています。物理療法とは温熱や光線などの物理的エネルギーを利用して治療を行う手段です。運動療法と併用して行われることが多く、疼痛や腫脹の軽減を目的に行われます。
【関節痛以外の症状】関節リウマチではこのような典型的な関節痛の症状の他に、様々な症状が現れることがあります。
物理療法
物理療法は大きく温熱療法・寒冷療法・光線療法・その他に分類することが出来ます。温熱療法は筋肉の緊張緩和や局所血流の改善により疼痛や腫脹を改善します。寒冷療法は熱感のある急性炎症状態の関節に対し、局所的な治療として用いられます。光線療法には温熱作用と組織修復作用があります。その他に牽引・マッサージなどのリハビリがあります。
運動療法
運動療法は、関節可動域の獲得、筋力増強、傷んだ関節の修復のために行われます。傷んだ関節があるのに運動負荷をかけることは逆効果のように思われますが、関節軟骨の新陳代謝に必要な栄養は関節を運動させることによってはじめて関節へ届けられる仕組みになっています。したがって傷んだ関節を修復させるためには運動が必要となります。しかし関節運動負荷が過度であった場合、弱って強度を失った関節の破壊はむしろ進行してしまいます。疲労や痛みが翌日も含めて残らない程度の運動量でなければいけません。運動療法の後にかえって痛みが増したという訴えを耳にすることもありますが、これは負荷量が多すぎることが原因です。適切な運動について主治医とよく相談しましょう。
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生活上での注意
安静
睡眠を十分にとりましょう。リウマチの活動性が高いときは、微熱があり、疲れやすくなります。炎症の強い部位の関節は腫れや熱感があり、安静にしても痛み(自発痛)、関節を動かすと一層痛みが強くなります(運動時痛)。リウマチは関節だけでなく、全身が消耗する病気です。そのため、全身と関節の安静が必要です。睡眠を十分にとるとともに、昼間も疲れたら昼寝をとることが大切です。

関節の腫れと痛みがつよいときには、関節の安静を保ち、変形を防止する意味で、補装具で関節を固定することもあります。その場合でも1日に1回は関節可動域を十分に動かすことが大切です。リウマチの活動性が治まり、関節痛が軽いときは、できる範囲で普通に日常生活を送ってよいのですが、その場合でも、疲れがつよくなる、あるいは関節痛がつよくなる一歩手前で休養を取るようにします。
関節部位の保温に気をつけましょう。保温
関節を冷やすと関節痛が強くなることがあります。寒い季節はもとより、夏も冷房の風が直接あたるのを避けて、長袖や長ズボン、ブランケットなどで関節部位の保温に気をつけましょう。
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